集中治療医が”Distributive”と発言する意図について
【内容】
・Distributive shockでは、血管抵抗の異常な低下により、有効循環に寄与しないUnstressed Volumeとして静脈系にプールされる他、機能的シャントや微小血管障害による組織の低酸素が発生している(1)
・そもそも、Distributive shockを含むショック分類が提唱されたのは1971年。当時は7つの病因による分類(血液量減少性ショック、心原性ショック、細菌性ショック、アナフィラキシーショック、神経原性ショック、血流障害に伴うショック、内分泌性ショック)だったが、4つの病態による分類が提唱された。(2)
・敗血症性ショックでは、バルビツール中毒のように蘇生輸液に反応する一般的な静脈容量の増加とは対照的に、大量の体液を注入しても改善しない
【コメント】
・先日、”Distributiveとはこれまでに聞いたことがないが、どういうことか?成書にあるのか?”という質問を受けて、勉強しなおした内容。成書には当然あるものだと思っていた。Distributiveであることについては説明できた(かもしれない)が、成書にいつからあるのかは知らずに返答できなかった。。。
・参考文献2は、Distributiveの主要因が、原因不明であるとしながらも動物実験から得られた知見から”我々は、静脈容量(Venous capacitance)の障害とみなしている”としており、50年前に当時から正確な予想がたてられていたという驚きの内容。如何に自分が物事を知らないかということを思い知らされた。まさに巨人の肩にに立つ。
【参考文献】
1)Vincent JL, De Backer D. Circulatory shock. N Engl J Med. 2013;369(18):1726-1734.
2)Weil MH, Shubin H. Proposed reclassification of shock states with special reference to distributive defects. Adv Exp Med Biol. 1971;23(0):13-23.
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