2026年2月8日
2026年2月8日
架空の症例: TAR+open stentで挿管気室 した患者に対麻痺が発覚した。 外科医はフェンタニル禁、ナロキソンの持続を指示する。 患者は挿管チューブや創部痛の苦痛が強く安静が保てない。 ナロキソンが対麻痺に効果あるだと? 内因性オピオイドが脊髄虚血を増悪させることを示唆したのは、というのは頸髄損傷の猫ちゃんでナロキソンが神経予後を改善した、という動物実験が発端になっている(Science . 1981 Jan 30;211(4481):493-4.)。脊髄に分布するオピオイドのデルタ/カッパ受容体が脊髄運動ニューロン傷害を起こすらしい。 その後、臨床試験で…
気脳症でいつまでベッド上安静にする?
2025年12月7日
2025年12月7日
気脳症のマネジメント 気脳症とは、頭蓋内に空気が貯留することを指す。 症状は頭痛、嘔吐嘔気、めまい、痙攣、そして気脳が頭蓋内に入ってくるゴロゴロ音が聞こえる、などである。 一般的マネジメントとしては以下の保存療法で、2−3週間で85%が再吸収されていたという。(Surg Neurol Int. 2015 Sep 29;6:155. ) 患者を30°のファウラーまでとし、ベッド上安静 鼻吹き、咳、くしゃみなどのバルサルバの操作を避ける 鎮痛剤と解熱剤 浸透圧利尿薬 高流量酸素療法。ただし陽圧換気は避けてフェイスマスク5L/分で2 日間 投与。 (Statperlsには5日間と…
クラゾセンタン③(祭り囃子編)
2024年11月3日
2024年11月3日
待ってましたのREACT研究。 しかし、本文は読めないのでClinical Trial.govを見る他ない。 【REACT Study】 P:頭部CTにて診断された動脈瘤性SAHでWFNS grade1-4かつ出血の厚さが4mm以上の患者に対して外科的クリッピングまたは血管内コイリング実施後 I: 経口または静脈内ニモジピン+aSAHの96時間以内〜最大14日間、15mg/時の静脈内クラゾセンタン持続投与 C: 経口または静脈内ニモジピン+aSAHの96時間以内〜 プラセボ持続投与 O:研究薬開始後14日までのDCIによる臨床悪化( 修正GCSが2点以上減少またはNIH…
ICPとPEEPの関係;スターリン抵抗機
2024年10月6日
2024年10月6日
【PEEPでICPは上昇するのか?】 A.上昇する。 ただし、臨床的な影響は軽微と考えられる。PEEP10(〜15)cmH2Oまでは肺保護換気を優先しつつ、 気にせず使用してよい。 PEEPは胸腔内圧を上げるため、静脈還流減少が起こる。 一方で、PEEPにより肺がリクルートメントされれば換気効率が改善し、PaCO2を下げることで脳血管の拡張を防ぐことができるかもしれない 。 前者は、 脳からの血液灌流を減らすために脳浮腫が悪化するのでは?という懸念を引き起こす。しかし、( 理論上は)スターリンの抵抗機という概念により、ある程度のPEEPでも静脈還流量は低下しない。 【スタ…
クラゾセンタン②(冷静編)
2024年3月10日
2024年3月10日
大規模多施設RCTであるCONSCIOUS研究3本はコケた。 しかして、この世から駆逐された…筈だったが、日本で行われた研究を元に復活を遂げる。 【日本が絡んだ2つのRCT】 ①日韓のDBRCT(Ⅱ相試験) 20〜75歳でクリッピング術後の動脈瘤性SAH患者(最終的にN=158)が対象。 プラセボまたはクラゾセンタン(5mg/hと10mg/h)を発症56時間以内に投与を開始し、14日間まで継続。 主要エンドポイント クモ膜下出血後14日以内の、中等度以上血管攣縮( 動脈縮小≧34% )。 結果: 中等度以上の脳血管攣縮はプラセボ群で80% vs 5mg/h群で38.5% …
卵や大豆アレルギーでも、プロポフォールは使用できる
2024年2月25日
2024年2月25日
【日本の研究】 大豆/卵アレルギーがある患者を対象にした日本の後ろ向き研究。 プロポフォールを投与された群 vs されなかった群で、相対リスクは1.14(95%信頼区間 0.10-12.4, p = 0.74) なお、アレルギー出現の有無は麻酔記録または術後ノートに具体的なアレルギー徴候の疑いが記載されていること、手術中または術後に抗ヒスタミン薬/コルチコステロイド/エピネフリンが投与されていること、前処置として抗ヒスタミン剤や副腎皮質ステロイド投与されていること 【各ガイドラインで、卵大豆アレルギー患者への扱い】 米国救急医学会 2018: 唯一の真の禁忌はプ…
クラゾセンタン①(情熱編)
2024年1月21日
2024年1月21日
【活性化プロテインCを偲んで】 活性化プロテインCという薬剤を知っているだろうか? その昔、とある米国大企業が関与した薬剤で、敗血症性ショックに使用されていた薬剤”らしい”。 →「活性型プロテイン C 製剤の失敗から学ぶべきこと」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/19/4/19_586/_pdf/-char/ja 残念ながら医師免許取得前に、市場から駆逐された薬剤であり、使ったことはない。 現在、クモ膜下出血に対して、クラゾセンタンという薬剤が出現しており、 内心、活性化プロテインCに似た状況ではないか?と思っ…
SAH後の抜管
2023年12月10日
2023年12月10日
【神経集中治療での抜管基準】 神経集中治療領域の古典は、上記表であろう。 この表は、研究では急性脳障害で挿管された患者を対象にした前向き観察研究で作成された。 (この表の出典は不明で、妥当だと皆が考えられるプラクティスを素にしていると推察) 予定手術、中毒、原因不明の代謝性昏睡は除外された。 上記表の項目をチェックして、全ての項目を満たせば患者は抜管された。 結果、対象となったのは136名(内訳は頭部外傷が78名、クモ膜下出血が26名)。 入院時の昏睡、急性脳障害の診断、肺炎、年齢をコントロールしたロジスティック回帰モデルでは、死亡と抜管の遅れとの関連は残っていたが…
クモ膜下出血の集中治療ガイドライン改定
2023年6月18日
2023年7月29日
【推奨とエビデンス要約】 破裂〜治療までの血圧目標: 推奨なし。後ろ向き研究からは収縮期血圧≦160mmHgが示唆。 治療までの抗線溶薬投与(トランサミン): 推奨しない。機能予後は変えない。脳虚血↑死亡↑とする研究あり。ULTRA trialがインパクト大、結果は機能予後も脳虚血も死亡も有意差なし。 CCB: ニモジピン経口投与を強い推奨。 DCI予防のためのニカルジピンの静脈内投与は、副作用のリスクが高まるため、行わないことを強く推奨。 ニカルジピン臨床的に重要なアウトカムには影響がなく、低血圧、肺水腫、急性腎不全を含む副作用のリスクが有意に増加する。ニカルジピン…
自己実現的予言が患者の予後を悪くしている
2022年10月23日
2022年11月11日
【話題になった論文】 Becker KJ, Baxter AB, Cohen WA, et al. Withdrawal of support in intracerebral hemorrhage may lead to self-fulfilling prophecies. Neurology . 2001;56(6):766-772. 【結論】 ・自己実現的予言( self-fulfilling prophecies )とは、”自分の予想が当たるように行動した結果、まるで事前の予言が実現したかのような結果を招くこと”。筆頭著者であるBeckerは、それま…
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の人工呼吸器中止
2022年5月15日
2022年10月8日
【内容】 参考文献1) ・従来、日本の医療における意思決定は医師に委ねられており、患者が意思表示をする機会はほとんどなかった。逆説的ではあるが、ALS患者に対する人工呼吸器の使用が医師の間で受け入れられつつあり、患者の教育や選択の幅が広がることで人工呼吸を辞退するALS患者も出てきている。 ・1993年のアンケート調査(902枚、回答率75%)では、ALS患者の46%が人工呼吸を使用。人工呼吸を行った患者のうち、21%は医師の勧め、10%は本人の希望、12%の患者は家族の希望、15%は本人と家族の話し合い、残りの42%の患者では、患者から詳細なインフォームド…
SAH後の髄液ドレナージ
2022年5月1日
2023年5月13日
【話題になった論文】 Al-Tamimi YZ, Bhargava D, Feltbower RG, et al. Lumbar drainage of cerebrospinal fluid after aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a prospective, randomized, controlled trial (LUMAS). Stroke . 2012;43(3):677-682. 【内容】 ・LUMAS試験は動脈瘤性クモ膜下出血のWFNS grade1-3、Fisher2−4の患者を対象に、スパ…
神経集中治療のニヒリズム
2022年3月27日
2023年5月13日
【話題になった論文】 Hemphill JC 3rd, White DB. Clinical nihilism in neuroemergencies. Emerg Med Clin North Am . 2009;27(1):27-viii. doi:10.1016/j.emc.2008.08.009 【内容】 ・脳神経関係のICU患者の予後は、脳神経医の(◯◯だったら、✗✗程度の予後しかないだろうという)”ニヒリズム”によって規定されてしまうが、それは有効な戦略ではないという話。 本文: ・多くの場合、臨床医は特定の公式な予後予測モデルではなく、経験や医学文…
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