集中治療の勉強・雑感ブログ。ICU回診でネタになったこと、ネタにすることを中心に。コメントは組織の意見ではなく、自分の壁打ち用。

東大SPHにチャレンジした話

2025年9月21日  2025年9月21日 

【東大SPHにチャレンジした話】

5月末の簿記試験に向けて、ひたすら仕訳作業と電卓を叩いていた頃、偶然な出会いが重なった結果、思い立って東大SPHを受験することにした。
国内SPHは複数あるのだが、たまたまつながった人が東大SPH出身だった。
ひょんなことで自分の思っていることを伝えたら、「東大SPHはおすすめですよ!」というわけで、6月1周目より試験勉強を開始することとした。
東大である理由は、単に倍率が高く、挑戦しがいがありそうだなと思っただけで特に深い理由があるわけではない(説明会では幅広く取り扱ってて、シンプルに興味がそそられたというのはある)。

【書評】

まず、必要な本と過去問を手に入れる。
過去問は学務にいって1万円で入手すればよく、本はネット注文。
読んだ本のコメント。

確率・統計キャンパスゼミ:
初見殺し。ネット上の評判はスバラシいのだが、残念ながら自分の知識不足により行間が埋まっていない様に見え、Lecture3以後が突然魔境になって迷子になった。
課金Chat GPT大先生が大活躍だったが、中でも以下のプロンプトを叩き込むことでまず概要を掴むことから始めた。

◯◯を以下の順に沿って説明して;

例え話→こうしたいと思った、こんな時に◯◯をこう使う→もう1回別の例え話で、◯◯がないと困る具体例→◯◯を実際に図で表示して、”直感”で理解ができるように解説→◯◯の定義→なぜこの定義がとなるのか中学生レベルでかわかりやすい&詳細な証明→注意点→大学院試験出でるとすればどのように出題されることが予想される?→まとめ

この調子で一応1周したが、Lecture5以後は目に写っただけで肉になった部分は少ない。

統計学演習:
2週目目から開始した、演習本。説明は詳しくないため、キャンパスゼミ1周を軽くしただけだと意味不明で心が折れそうになる。logの基本的な計算や、部分積分のLIATEルールなど、基本的な部分からやり直す羽目になる。例題は少し考えてすぐ答えを見る、演習は手を動かす。大量のコピー用紙が必要なので買っておく。解説がしょぼいので、理由やプロセスがわからなければChat GPTに聞く。最終的にGPTに質問したおして、最後に直前に覚えておく一覧をPDFで出力してもらい試験直前に暗記。
全体を通して2週間かかる。本質を理解しようとしてはならない。時間がいくらあっても足りない。合格するためのパターンを知ることだけが目的である。

公衆衛生が見える:
最も買う価値のある本。通勤時間に読む本その1。構成が目に優しく、知っている部分はさっと快速通過。読み物として楽しい。ただし、通読は合格するだけなら無意味。試験問題から、逆引きで項目を探すのはなかなかに大変だったりする。過去問に出たところの周辺知識で知らないところを中心に埋めていく。最終的には、頻出のところを2周目することになった。

7日間で合格する小論文:
通勤時間に読む本その2。正直、構成のプロットを書くことに苦がなければ読まなくてもいいかも。Chat GPTに構成の案だししてもらうのが一番早いという説がある。

入門・医療倫理:
総論のところだけでOK。読み物としてダントツに面白い。
ただし、試験点数には結びつかない可能性が高いため、これまた買うかどうかは人による。

実践IELTS英単語3500:
空いた時間で。買っても、英語勉強のために腐らないので買う価値ある。

わかりやすいEBMと栄養疫学:
筆者のボヤキが面白すぎて、内容はあまり入ってこない。読み物としては面白いが、点数につながるか?というと微妙な気がする。通読する、というよりは論述解いた後にどう思考するかを確認する程度でいいと思う。

過去問:
英文と統計は写真とってChat GPTに採点+解説してもらえばOK。
それ意外は頑張って調べる。

【タイムコース】

配点的には、英語>公衆衛生筆記>(小論文)>公衆衛生選択=統計選択、となる。
よってこの順に力を入れる。

英語:過去問を解いて、出題のされるパターンをつかむ。内容が読めたか、というより解答のロジックを理解すべき。LancetとNEJMの公衆衛生のPerspectivesを多く読んでおくと、多少英語が読めなくても内容が理解しやすい。これら論文PDFからChat GPTに英作文問題を作らせると、擬似的な模擬試験になる。あとは、公衆衛生の頻出英単語は抑えておく(inequlityとinequityの違いとか)。空いた時間で英単語と、News in levelsを眺める(広告がうっとおしすぎて試験終わってから見なくなった)。

公衆衛生筆記:普段ジャーナルクラブなどをやっていれば絶対的得点源になる。9題から4つの選択だが、基本は考察を求められるものが解答しやすい。医学統計、倫理は最初から選択肢に入らない。医療情報システムは考察系、医事法は過去問とほぼ同じならワンチャンスで選択しうる。ここは過去問は解いて周辺知識を仕入れても、それ以上の労力は割かない。疫学、予防医学、健康教育、精神保健、公衆衛生調査方法論を中心に攻める。ここの勉強は選択にも活きる。

公衆衛生選択:過去問で問われたところ+αを病みえで読む。明らかにおかしな選択肢が紛れているのでテクニックで解ける部分も多い(必ず、とか、常にが間違い解答である可能性が高いなど)。

統計選択:過去問を繰り返すことで理解を深めるのが一番手っ取り早い。

小論文:ここまでの試験がパスしなければ採点すらされない。ノートに課題、なぜそれが課題たりうるか?、なぜそれが課題なのか、対応する解決は?を書き殴る。そして、自分の思考や新しい視点がないか、Chat GPTで壁打ちして思考をまとめ上げる。あとはこの4つを4段落にして1000字前後書けばOK。なお、面接は小論文の内容にツッコミが入るので、事前に突っ込まれそうなところのロジックを補強しておく必要がある。


1週→最新の過去問を1年分解いてあたりを掴む
   マセマ1周、通勤時に公衆衛生が見える開始
2週→統計学演習半分
3週→統計学演習1/4、公衆衛生が見えるを1周終了
4週→統計学演習1/4、過去問2年目〜、通勤時に入門・医療倫理
5週→統計学演習を読むのをやめた。過去問、通勤時に7日間で合格する小論文、スキマ時間に志望動機と小論文のアイデア出しを言語化しだす
6週→過去問、IELTS単語帳+スキマ時間で論文よんで英作文
7週→過去問、IELTS単語帳+スキマ時間で論文よんで英作文
8週→過去問。
9週→過去問。統計は仕上がったので以後勉強しない。
10週→寝かしていた小論文を書き出す。
11周→小論文を書きながら、時間内にかけるようにトレーニング。
直前→公式を暗記

過去問は8年分くらいをやった。

【コメント】

・6月頭から試験勉強を開始したが、勉強中は時間がマジで足りないと思いました。途中で、心の安定剤に使用と思っていたアメーバブログ「東大SPHを目指す君へ」が消失したので、記録を残しておく。アメーバブログが消失した理由は不明だが、直感がきな臭さを訴えておりこれ触れないほうが良さそう。本業の勉強をすべて放棄したので、このブログも消失するところだった。

・当日やっておけばよかったのは、模擬試験みたいに時間をとって問題を解くこと(英語と公衆衛生筆記、小論文はまじで時間ギリギリまでかかった)、虫よけスプレーをもってくること(時期的に蚊が出ます)。

・なお、簿記試験は合格したが、二次試験面接で落ちた。落ちた理由は、一次試験がギリギリだったであろうこと、あとは面接で、将来を具体的に構想せず今ある選択肢から良さそうなものをなんとなーく選んます、という感じがもろバレだった気がする。

・とはいえ、公衆衛生の知識や考え方の勉強そのものが面白く、また使えそうなので有意義な時間ではあった。

【参考文献】

なし
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