集中治療の勉強・雑感ブログ。ICU回診でネタになったこと、ネタにすることを中心に。コメントは組織の意見ではなく、自分の壁打ち用。

Critical illness-induced cholestasis

2024年11月17日  2024年11月19日 

 【話題になった論文】

Jenniskens M, Langouche L, Van den Berghe G. Cholestatic Alterations in the Critically Ill: Some New Light on an Old Problem. Chest. 2018;153(3):733-743. 

【内容】

・重症患者の採血で肝機能検査が悪化している場合…

低酸素性の肝炎→早期にAST/ALTが上昇、正常上限の20倍程度まで上昇する

重症病態によってビリルビンの排泄障害→炎症による細胞の変化により数日後〜に総ビリルビンが2-3mg/dLを超えて、ALP/γGTPも正常上限の2−3倍に上昇する


Cholestatic Alterations in the Critically Ill - CHEST


・胆汁うっ滞が起こるリスクは
 患者要因:アルコールやウイルスなどの肝炎基礎疾患
 治療要因:高PEEP、抗生剤使用、経静脈的栄養
 疾患要因:グラム陰性菌性敗血症、手術、外傷
 

【コメント】

・プレゼン中に肝機能上昇の鑑別で上がってきたワード。普段は意識していおらず聞き慣れないのでお勉強。

・しかし、診断できたとしても、あくまで結果発生したものであり治療に直結するわけではなく、この鬱滞を治療すべきかどうかも不明のままである。また、総ビリルビン上昇を、”重症だから”ということで判断したとして、肝前なのか肝内部なのか肝後なのか、判断することはできない。直接ビリルビンを測定して、グルクロン酸抱合の機能を間接的に見ているだけであり、やはり病態の首座は不明である。

・というわけで、今のところはTPNをやめてみたり肝臓排泄の薬剤を回避したり、など普段の臨床プラクティスは変わらなさそう。

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