造影剤による腎傷害を過度に恐れる必要はない
【話題になった論文】
Lakhal, Karim et al. “In the Name of Contrast-Induced Acute Kidney Injury….” Chest vol. 157,4 (2020): 751-752.
【内容】
・造影剤による腎傷害を恐れすぎることを戒めるEditorial
・Editorの主張は、”最新の(非イオン性水溶性)ヨード造影剤に直接起因する腎毒性は、長年にわたって誇張されてきたことを示す証拠が増えている”
・最初の9行:造影剤による急性腎傷害(AKI)の名の下に、それを予防・緩和するための数多くの手段を研究するために、どれだけの人的・財政的資源が投入された?これらの手段のうち、限られた医療資源を動員したり、侵襲的であったり、有害であったりするもののうち、どれだけが臨床現場で不当に使用された?造影剤によるAKIの名の下に、造影剤を使用した診断や治療を拒否されて苦しんでいる患者さんは何人いる?
【コメント】
・最初の9行はかなり記憶に刺さるものがある。特に最後の行。造影剤で透析になったらどうするんだ!と(頭の中の)声が聞こえたケースを思い出す。十中八九、何が問題点で何を優先すべきかを忘れて、単純CTか造影CTかだけが議論の対象になったときに発生する。
・結局、造影剤を使用するかどうかは、CTをオーダーしようかなと思う以前に、造影剤を必要とする鑑別疾患があるかどうか?+造影でマネジメントが変わるか?で決まる。
・秀逸なレビュー(https://emcrit.org/ibcc/contrast/)の図がわかりやすい。造影剤→透析の思考は、実は一直線でないことがわかる。言語化の参考にしよう。
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