集中治療の勉強・雑感ブログ。ICU回診でネタになったこと、ネタにすることを中心に。コメントは組織の意見ではなく、自分の壁打ち用。

COVID-19関連侵襲性肺アスペルギルス症(CAPA)

2021年10月7日  2021年10月7日 
【話題になった論文】
Koehler, Philipp et al. “Defining and managing COVID-19-associated pulmonary aspergillosis: the 2020 ECMM/ISHAM consensus criteria for research and clinical guidance.” The Lancet. Infectious diseases vol. 21,6 (2021): e149-e162.

【内容】
・COVID19関連肺アスペルギルス症=CAPA(COVID-19-associated pulmonary aspergillosis)
・CAPAを起こす原因:COVIDによる気道上皮の直接的損傷+繊毛のクリアランスを妨害+局所または全身的な免疫機能障害(重症では特にT細胞の減少;重度のリンパ球減少は、血液悪性腫瘍患者における侵襲性カビ疾患のリスクを予測する要因として確立されている)
・デキサメタゾンや抗IL-6抗体は救命には有用である一方、CAPAの発生率の増加につながる可能性がある
・CAPAの臨床像:COVID-19患者に推奨されるすべてのサポートを受けているにもかかわらず、5~14日以上難治性の呼吸不全が持続している+3日以上の難治性の発熱、適切な抗生物質治療中に48時間以上経過後の新たな発熱があり他に明らかな原因がない、呼吸状態の悪化(例えば、頻呼吸や酸素必要量の増加)、喀血、胸膜摩擦音や胸痛など
・上記患者にCT検査で他の疾患を除外→下気道サンプリング(鏡検、培養、PCR、ガラクトマンナン、FLA/FLD)
・スクリーニングとして、血清ガラクトマンナン酵素免疫測定法、または(ガラクトマンナンの酵素免疫測定法が利用できない場合)LFAまたはLFDによるスクリーニングを、ICUから退室するまで、または肺機能が改善して7日以上の長期保存が可能になるまで、週に3回行うことを検討すべき


・推奨される第一選択薬は、ボリコナゾールまたはイサブコナゾール(※日本ではまた使えない様)。アゾール耐性が懸念される場合には、リポソーマルアムホテリシンBを選択する。エキノキャンディン系は、他の選択肢がない場合サルベージ療法に使用することは可能であるが、単独投与はすべきでない
・ボリコナゾールは週1回の血中濃度モニタリングを推奨する。ボリコナゾールでは,血漿トラフ濃度が2~6 mg/Lであることが推奨。

【コメント】
・重症COVID患者の下気道検体から糸状菌が検出された、という報告が多く、そういう患者のほとんどは予後不良な転機をたどるという印象はあった。わざわざCAPAという略語にせんでも、、、という気もする。
・週3回のスクリーニングを検討とのことだが、検査結果に振り回されるのでは?
・治療薬には副作用も多い。感染症内科医が頼りになるので、プロに相談して方針を決定するのが無難だろう



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