Brave enough
【話題になった論文】
Neville, Thanh H. “Brave enough.” Intensive care medicine, 1–2. 17 Nov. 2021,
【内容】
・COVIDでワクチン接種しておらず重症化してICU入室となった患者が、人工呼吸器管理をするのは病院が儲かるからだ、と言って挿管を拒否して家族にもその旨を伝えていた。
・繰り返す本人の説得で入院を継続したが、気胸+低酸素で人工呼吸器管理が必要となった。子供が呼ばれたが、数日前から「大丈夫」と言っていたのに、挿管が必要だと言った医療者を批判し、父親の酸素が低下する中、堂々巡りの議論を吹っかけてきて、「弟に電話して、また判断して連絡する」と言った直後、コロナ診療で疲れていた筆者が、その息子に、”"そんなことをしたら、私はこの部屋から出て行って、あなたのお父さんが死ぬのを見届けるわよ!" と叫んだが、結局後悔することになった。
・”この数ヶ月間のパンデミックは、私たちの多くが経験したことも予想したこともないような方法で医師を苦しめました。誤った情報が氾濫するこの時代、私たちは、患者が私たちを信頼していないにもかかわらず、患者のために戦おうとする自分の意志を信じること、つまり、光を見るだけでなく、光になることを求められているのです”
【コメント】
・”あなたのためをおもってやっているんです”というのが、お互いをイライラさせてしまうことの典型。医療現場ではよくあることである。患者の愚行権をどこまで許容するか、というのは悩ましい問題。ICUに入室しても、行動変容は起きないこともザラにある。
・COVIDのパンデミックが、医療現場を激変させて医療者を苦しめているのはどこも一緒なんだなと思うと少し気が楽になる。エビデンスとは違うが、こういう経験を通したエッセーを学術誌に載せるというのはとても良い。
・”あなたの〜”と相手のことを思うのではなく、患者のために”自分が”ベストを尽くす、という自分に主体を当てることが大事ということなんだろうな。
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