ICUでNP(Nurse Practitioner)をどう活かすか?
【内容】
・8名の急性期NP(ACNP)が、4ヶ月のトレーニングをうけた。トレーニングは集中治療医が担当、講義、手技、シミュレーション形式で、患者の受け入れ、鑑別診断、処置の実施、診断検査のオーダーと解釈、薬剤オーダー、コンサルタントとのやりとり、患者の退院を含む。各研修生のパフォーマンスについて毎日非公式なフィードバックを行い、毎週オリエンテーション中に正式な評価が行われた。各NPはクリティカルケア正看護師としての経験があり(平均7.0±6.7年)、半数はACNPとして働いた経験があった(平均3.3±2.6年)。
・2年間、9,066例の入院患者のうち、ACNPまたは研修医チームのケアを受けた患者の90日生存率には差がなかった(調整後ハザード比0.94, 95%CI:0.85-1.04, P=.21)。ACNPがケアを行った患者では、ICUでの死亡率(6.3%)が研修医チームの患者(11.6%)よりも低かったが、病院での死亡率には差がなかった(10.0% vs 15.9%, Adjusted OR 0.87, 95% CI, 0.73-1.03, P =.11)(1)
・今後、急性期NPの役割に対するアウトカムとしては、コスト削減と効率化、質と安全性の向上、患者アクセスとアウトカムの改善、そして最終的には専門家間のすべてのメンバーの充実感と幸福感の向上に対するAPPの影響に焦点を当てる必要がある。急性期医療と重症患者への APP チームの役割、期待、権限がより標準化される(国または州が決定)までは、APP の真の利益と価値は未知のままである。(2)
【コメント】
・海外と日本のNPは全く異なるし、ICUのモデルも全く異なるので、予後を改善したというのは日本に持ち込める結果ではない。日本にはまだNPに対する理解は乏しい。が、適正なNPを対象に十分教育すれば、特に集中治療医のいない病院で、病院に理解があれば研修医以上の機能をもたせられる気がする。そして、患者や家族、コメディカルの満足度改善は容易に起こる気がする。
・ぱっと思いつくだけでも、RRS対応、検査や薬剤オーダー、家族との面談設定、多職種カンファレンスの設定、多職種連携の仲介、ICUでの手技、患者搬送、ICU退出後のフォローアップ、データベース打ち込み、ICUの質改善、看護師教育…などはタスクシフトできそう。
・タスクシフトといえば聞こえは良いが、仕事の内容を見ると、それだけではモチベーションの維持は難しいそう。しかも、集中治療は成長が遅い分野(と思っているの)で、NPからみても人気ない分野だろう。。。また、(自分の居場所をつくらねばらなない、とかNPの活躍を発表せねばならないなどの)インセンティブが働くと、変な方向に走っていきかねないのでモニターも必要。
【参考文献】
1)Landsperger JS, Semler MW, Wang L, Byrne DW, Wheeler AP. Outcomes of Nurse Practitioner-Delivered Critical Care: A Prospective Cohort Study. Chest. 2016;149(5):1146-1154.
2)Kleinpell RM, Grabenkort WR, Kapu AN, Constantine R, Sicoutris C. Nurse Practitioners and Physician Assistants in Acute and Critical Care: A Concise Review of the Literature and Data 2008-2018. Crit Care Med. 2019;47(10):1442-1449.
コメント
コメントを投稿