集中治療の勉強・雑感ブログ。ICU回診でネタになったこと、ネタにすることを中心に。コメントは組織の意見ではなく、自分の壁打ち用。

VExUS grading system:うっ血のエコー評価

2022年11月20日  2022年11月27日 

 

  【話題になった論文】

Beaubien-Souligny W, Rola P, Haycock K, et al. Quantifying systemic congestion with Point-Of-Care ultrasound: development of the venous excess ultrasound grading system. Ultrasound J. 2020;12(1):16. 


【結論】

・この前向き観察研究(のデータを使用した後ろ向き研究)では、VExUSにより心臓外科術後の(うっ血の結果として発生する)AKI発生率を予測した(HR 3.69,  95%CI 1.65–8.24, p=0.001)。この結果は、ベースラインのAKIリスクとカテコラミンサポート使用で調整した後も、術後のAKI発症と依然として関連していた(HR 2.82,  95%CI 1.21-6.55, p=0.02)
・重度うっ血ありと判断した(Grade3)際の検査感度は、特異度96%(95%CI 89-99%)、感度27%(95%CI 15-41%)。

【内容】

・対象患者:18歳以上、CABGを受けた患者
・除外患者:腎移植を受けた患者、重症術前状態(術前の心肺蘇生、術前の機械換気,術前の血管カテコラミンやIABP使用)、術前のAKIまたはせん妄、門脈系のドップラー評価に干渉する状態(肝硬変や門脈血栓症などが知られているか疑いがある)、CKD(eGFR<15)または透析
・測定方法:術前とPOD1-3で連日測定。測定結果の解釈を複数作成し、検査感度を算出。(なお、様々なスコアを検討した結果、見るべきポイントはVexUS Cスコアである)。


【コメント】

・日常臨床に活かせるか?というとちょっと心もとない。外的妥当性の検証後からでもいい。
・問題は術前測定が必要でありベースが不明な患者での解釈、連日フォローする手間と見合うかどうか(本研究でも測定困難な患者がいて25%が除外されている)、測定者間の誤差、各科の理解(Creが上昇時に利尿継続を許してくれるのかどうか)。また、この研究の患者群において人工呼吸器使用率や設定等が記載ないことはかなりの不満。CABGのみならず大血管手術のみもこっそり紛れ込んでいたり(6.9%)、Urgent surgery(33.1%)もいるなど、均一性は乏しい。
・Supplement読んで、「なーんだ、術後AKIを予測するならNT-Pro-BNPだけでいいじゃん」と言ってはいけない。実際には、絶対値だけではなんとも言えないはず。
・他科とはIVCだけでうっ血の話が終わることもしばしばあるので、他の国でもそうなのかもしれない。VExUSはなんとかIVC測定を使用しつつ、精度を高めようという努力の結果に見える。となると、心臓外科術後以外での患者群でどうなるか?が気になる。
・本文中のGradingはわかりにくいので、POCUS101見たほうが手っ取り早い。


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