集中治療の勉強・雑感ブログ。ICU回診でネタになったこと、ネタにすることを中心に。コメントは組織の意見ではなく、自分の壁打ち用。

SIMVの活用法を本気で考える

2024年7月28日  2024年7月28日 

 人生で初めて、”WeaningのためにSIMVにしといたから”と言われた。

SIMVの出番はICUにおいて無いと思っていたが、それが思い込みなのでは?と思い直して本気で活用法を考えてみる。

 【いつつかう?】

1.何かしらの理由で気管切開され長年SIMVを使用している患者がICUに入室した
特にSIMVで横隔膜廃用が進んでおり、実質離脱も難しい状態である場合。
これが最もわかりやすく、ICUで遭遇しうる局面。
出口戦略を見越して、元々の施設なり自宅なりが困らないように配慮しておく、という意図がある。

2.急性期を脱した後、集中治療医がいない環境で人工呼吸器を使用せざるを得ず、手術や外来中にいざという時対応できない事態を回避したい
管理する人や病棟がSIMVモードに最もなれた環境下であればあり得る。
また、夜間にだけバックアップ換気が入ってしまうような病態の患者で、SIMVの強制換気をバックアップとして確保しておくことでアラームが鳴り響くことを予防する、ということが可能かもしれない。

【IMVのPro position】

試験の本質的欠陥:
ウィーニングプロトコルとして技術としてIMVを評価した研究では、あらかじめ決められた時間枠の中で、呼吸回数を1~2呼吸ずつ恣意的にゆっくりと減少させるというプロトコルであった

自発呼吸温存による依存領域の開放:
CMVと比較して、時折出現する自発呼吸が依存領域(仰臥位でみたときの背側で肺が潰れる部分)を無気肺から開放することで、換気血流比を改善させる

非同調の発生率が変わらない:
ACモードと比較して、COPDや外傷患者を対象にした研究では非同調率は変わらず、否定的な研究結果は出なかった。

アウトカム:
CMVと比較すると、IMV全体ではアウトカムに差はない。

【コメント】

人工呼吸器で世界のTOP3本の指にはいる、Brochard先生が、ICUから叩き出してから久しい(と認識している)そもそもSIMVモードを自分で使ったことがない。人から報告されたのも初めて。

・Pro/Conあるが、私見ではICUで存在価値がないと思っている。人工呼吸器の本でお馴染みのカマレック先生も、結局は非常に特殊な状況じゃなきゃ使わないと言っている(参考文献最後のDiscussionでも"...we have modes of ventilation that do a much better job today than SIMV in accommodating that type of breathing pattern.")。

・最後の鉄の肺患者が先日亡くなった。いつかSIMVも消滅する日が来るのだろう。→https://www.cnn.co.jp/usa/35216490.html

【参考文献】

Kacmarek RM, Branson RD. Should Intermittent Mandatory Ventilation Be Abolished?. Respir Care. 2016;61(6):854-866. 

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