地域医療構想のガイドラインとICU
先日発表された地域医療構想のガイドラインでは、「病床数を減らす計画」から、「地域全体で医療提供体制を再設計する計画」へ変わったことが大きな目玉である。
従来(2025年の地域医療構想)では、病床機能毎(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に必要病床数を推定して、というものが中心であった。
しかし、今回(2040年を想定)の地域医療構想では、医師不足や高齢者救急の増加を背景に、医療機関の役割分担が中心となり、地域のグランドデザインを描くことが推奨されている。
機能においては、「高齢者救急・地域急性期機能」と「急性期拠点機能」に分けられるが、この2つは同じ役割を持てない。(ICUはおそらく後者に属することになる)
また、医療法の改正により、地域医療構想の下に医療計画が置かれることになった。
集中治療は6事業に入らないものの、小児や救急と連動するものである。
これらが意味するところは、ICUが集約化され地域医療の共有財産となる、ということである。
ICUを増やす減らすも、遠からず地域医療構想調整会議で議論されることとなるため、
・急性期ポジションを明確に描き、フォアキャストで計画を描き、実行に移す
・(取っていない施設では)ここ数年以内にICU管理加算の1を取得し、集中治療医を持続的に集めることができる体制を作る
・ICUを使って地域医療に貢献する体制づくりをする(例えば地域用のベッドを確保するとか)
などを行わなければ、なんちゃってICUは淘汰されることになるだろう。
一方で、高齢者救急の増加に伴い、背景疾患が複雑な重症患者が増えることになる。
こういった対処は集中治療医の得意とするところであり、なり手の少なさも相まって、集中治療医のニーズは2040年になっても相応にあるものと予想される。
若手キャリアへの影響?
患者相が肺炎・心不全が増え、患者層の多様性は低くなるため、やりがいという点では低くなって選ばれなくなるのでは…という点は心配。
集中治療医となるのは医師6年目〜で、ある程度一人前になるのが医師9-10年目〜と考えると、今研修医くらいの若手は、我々世代とは異なる能力が求められることになるだろう。
推定では、以下のような5点が求められる人材となる(と思っている)ため、今のうちから指導医候補や指導医もこれらの技能を磨いておいたほうが良さそうな気はする。
- 臨床力(基礎力。これは普遍的なミクロの力)
- 高齢者急性期医療と多職種連携を経験し実戦できる(特にACP)
- ICU運営や医療の質改善(QI)、医療経済を学ぶ(組織にアプローチするメゾの力)
- 研究手法やデータ解析を身につける(できればAIの理解と実践も)
- 地域医療や政策に関わる機会を持つ(マクロの力)
博士号や論文を書くということが評価されなくなるんだろうな…(悲しいことではあるが)
そしてACPがなされることに加算がついて、そういったところが評価されるようになると。
コメント
・完全に当てずっぽうが入っているので、どうなるかは分からないが、AI全盛のご時代なので”知っていること”の価値が著しく低下していることは実感するところ。家族説明だって、そのうちフルタイムAIが対応してくれるようになるだろうし、遠隔ICUもAIに置換されていくだろう。
・地域医療構想によってICUも淘汰される時代を想定して、今から準備する必要があるが、経営母体や経営者の違いによって大きく左右されることになるので、自分がどうなっているかはよく分からない。
・関連の最強の圧力団体もNPに反対している他、救急関連の良さそうな施策に対して”大病院志向を誘発すると我々が困る”というスタンスである。かたや、NPを擁立する圧力団体とて、救命士を蛇蝎の如く嫌っており(歴史的に資格が分かれてから嫌われてしまった)、味噌も一緒…という状態ではある。本当に火がつくまで、救急/集中治療領域は生かされず殺されずが続かないか心配。
参考文献
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